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印刷とそれ以上の何かについて(少し電子書籍寄り)。気が向いただけでは更新されません。

PAGE2011

PAGE2011に行ってきました。

長文レポートは昨日のADPF2011で疲れたのでやりませんが、なんか閑散として業界の斜陽感が肌で感じられるイベントでした。

人はそこそこ来てたんでしょうけど、熱気というか盛り上がり感はあまり伝わってきませんでした。電子書籍関連も(セミナーはいろいろあったみたいですが)展示に限れば去年のほうがなんというか「どうなるかわからないけどいち早くやってみよう」という雰囲気があったような気がします。
JAGAT自身が方向性に迷っているところもあるのでしょうが、業界的に全体が盛り上がる話題に欠ける状況なのがより際立った感じです。電子書籍クロスメディアなんて知ったこっちゃないという印刷会社もいっぱいいるでしょうからねぇ。

やっぱり展示フロアに入ってすぐに何もないスペースがぽっかり空いてると、それだけで閑散とした印象を与えるんじゃないかと思います。展示ホールDの入り口なんてほんとに何もなかったからなぁ…。

いつもはほぼ一日見て回るところなのですが、今年はざっと一周しておしまいでした。しかも午前中はデジタルワークフローソリューションゾーンでセミナー聞いてましたし。

ADPSのセミナーはADPF2011の内容に加えて制作のデモも少々。その後の境裕司氏の「EPUBフォーマットの 電子書籍を設計するための 5つのポイント」はとても勉強になりました。


個人的に展示で一番気になったのはミマキのUJF-3042というUVインクジェットプリンタ。A3サイズ、100V電源でノベルティ作成に用途を絞った感じ。これ販促EXPOとかプレミアムインセンティブショーとかの関係者なら気になる製品じゃないでしょうか。

Adobe Digital Publishing フォーラム 2011

(昨日寝落ちしてしまったので一日遅れでアップ)

Adobe Digital Publishing フォーラム 2011に参加するために六本木まで行ってきました。たしかこの会場ってCS4の発表会のときに来たような…。開始20分前くらいには満席になって立ち見も出てたようです。ustreamでも中継してたんですね。

Keynote:米国最新事例を交えたAdobe Digital Publishing Suiteのご紹介

Adobe Digital Publishing Suiteのざっくりした紹介と海外事例。最新事例というわりにはWIREDとマーサスチュワートリビングの事例はいつも紹介されてる気がする…。
サービス概要も特に新しい発表もなかったですかね。国内向けの料金発表くらいするかと思ってたのですが、それもありませんでしたし。
英語の同時通訳でなぜかopportunityをそのまま「オポチュニティ」で通していたのが気になってしかたなかった。

Adobe Digital Publishing Suiteによる国内作例の紹介

アドビ岩本氏司会で国内事例の紹介。

・株式会社ビーワークス/株式会社三栄書房『ゴルフトゥデイ』

eBookジャーナルの2号でも紹介されてた「ゴルフトゥデイ」。AppStoreで昨日配信開始で、1位になったとか。電子書籍で1位かと思ったら、スポーツカテゴリで1位なんですね。ブックカテゴリ探しても出てこなかった…。
ムービーがやたら入っていて、ゴルフ好きにはすごくうれしいんでしょうね(当方ゴルフ興味なし)。スイング解説でスイングの動きをムービーではなく静止画のスライドショーを使って切り替えてみせるというのはおもしろいアイデアだと思いました(指をスライドさせてコマ送り)。

凸版印刷株式会社/株式会社集英社『ヤングジャンプ(サンプル)』

凸版の権力行動力で集英社と組んだヤングジャンプのアイドル写真集サンプル。このサンプルを紹介してる間は大人の事情でust中継では画面表示はなかったらしい。
まあありがちといえばありがちなサンプルですけど、やっぱりコンテンツが大事ということで。
集英社担当者のコメントとして、素材をたくさん盛り込もうとして作品全体の軸(中心線という言葉を使っていた)がぶれそうになったという言葉が印象的でした。また凸版の「社内にいっぱいいるInDesignオペレータを充てられる」というのもよく考えるとすごい話だ。なんでも週に4、50件ほど新規案件があるらしい。そして売上目標500億って…

・DESIGN WORKS『電子カタログのサンプル作成事例』

CELL REGZAやメルセデス・ベンツSMARTのカタログをADPSを使ってデジタル化。いろいろ仕掛けを加えてました(たいへんそう…)。これは実際に採用されているわけではなく、プレゼン用サンプルなのでしょうか? 展示会場で配ってた元のカタログ印刷物も相当コストかかってそうな感じでした。印刷でしか表現できない質感などが与える高級感を、デジタルにしたときにどのようなアプローチで表現するかというのが課題になりそうな気がします。動画入れてリッチコンテンツにすりゃいいって話でもないでしょうし。

ディアゴスティーニ「週刊 戦国甲冑をつくる」

…なんで戦国甲冑? サンプルなんでしょうけど素材としてのインパクトはありますね。くるくる回る甲冑(笑)。
こういう付録メインの書籍の場合は、印刷とデジタルで部数を食い合うことも少ないでしょうから有用性は高いかもしれません。個人的には「デザインの引き出し」の資料として便利な記事だけを集めてデジタル化してほしいです。あの雑誌は素材サンプルのおかげで記事部分が読みづらいことがあるので。

・株式会社ロータスエイト『ヘッドポーター カタログ』

国内最初の採用事例。まあADPSに興味がある人は既にみんなダウンロードしてそうな気がしますが。制作したロータスエイトはヨガ教室もやってる編集プロダクションで、実制作したのはモデルもやってるイケメンさん。この方それまでほとんどInDesign使ってなかったらしい。

ゲスト:株式会社STUDIO ellie 大宮エリー氏

事例ではなく、「電子書籍ってなんだか面白そうなので作るよ!」と発表しただけ(というと失礼か)。でも「面白そう」から実際に作るまでの行動力は純粋にすごいと思います。スポンサー集めたりとか。
ここで北川一成氏と組んでやるというのは興味あります。北川氏って印刷のすごい人って印象だったので、電子書籍でどういうことやるのでしょうか(知らないだけでもう何か手がけていたりするのかも)。

電子書籍の新フォーマット、日本語対応EPUB3.0の詳細解説

EPUB規格策定に深く関わっておられる村田真氏による解説。個人的には村田氏といえばゼロックスの肩書きでお名前をよく拝見していたのですが(XMLとかRELAX NGとかの頃?)、今は国際大学フェローという肩書きなのか…。国際大学ということはGLOCOM?
内容についてはEPUBの概要紹介、採用事例、EPUB3.0の進行状況など多岐にわたるものでしたが、前段が具体的な事例のデモンストレーションだったのに対して、淡々としたプレゼンだったせいか、このあたりから少し人が減った気がしました。来場者層が具体的にはわかりませんが、もう少し具体的で実務寄りなのを期待していた人たちが多かったのかもしれません。国際規格の提案の進め方とか裏話も聞いてると面白いんですがねぇ…。どちらかといえばPAGEのカンファレンスでやったほうが、必要としている人に届いていたような気もします(それだとust中継されないからダメか)。
個人的に気になったのは、採用事例としてYahoo!コミックが挙げられていたところでしょうか。ユーザが直接EPUBデータにアクセスできるのかどうかわかりませんが、画像メインの場合でもEPUBが有用性があるのでしょうか。
最後に岩本氏が解説で、EPUB規格がアドビの独自規格だと誤解されている人がいるのでオープンな規格であることを知ってもらうためにこのセッションを企画したこと、アドビとしてはEPUB3.0にも注力し、文字ものにはEPUB、リッチコンテンツにはADPSを推進していくということを補足されました。

ワクワクする電子書籍

村上龍氏の電子書籍を手がける株式会社G2010 代表取締役社長 船山浩平氏のセッション。「歌うクジラ」の紹介や製作裏話、今後の展開など。
文芸書籍のデジタル化は作家や編集者や読者も含めて求めているものが十人十色なので、理想の電子書籍というものを示すのは難しいんでしょうけど、作家主導で進めていけるものは一番幸せなものなんでしょうね(少なくとも作家と作品にとっては)。
興味深かったのは外注製作分が150万で、それをペイした後の利益配分がApple 30%、村上龍氏 40%、G2010 20%、坂本龍一氏 10%というところ。音楽も固定じゃないのか。しかもApple以外の比率は売上数に応じて多少変わるようなことも…。作品が増えてきたら個別に契約調整するの大変だろうから一定の基準に落ち着くかもしれないともおっしゃっていました。

展示会場

展示ブースでは、事例紹介でデモをされていた作品やその他製作ツールなども展示されていました。ADPSの競合にあたるWoodwingとかProBridgeDesignerとかも出展してました。その他プレゼンでは紹介されていなかったamanaの電子雑誌も凝ってる感じでした。

まとめ

なんだかんだでけっこう長時間のイベントでしたが、全体として何か目新しい発表をしたわけでもなくADPS推しというわけでもなく、焦点が定まらないぼんやりしたイベントだったと思います。もしかしたら最初はこの場で国内向けサービスを価格も含め正式発表したかったのかもしれませんが。少なくとも相当の人が知りたいであろう「どうやって作るのか」という説明を、休憩時間の15分ほどのデモで済ませるというのはどうなんでしょう。これならADOBE DIGIPUB MAGAZINEにある報道関係者向け説明会のビデオのほうが詳しいんじゃないでしょうか。

参考:Togetter - 「「Adobe Digital Publishing Forum 2011」のツイートまとめ (2011.2.1)」
http://togetter.com/li/95587

おまけ

イベント参加記念グッズはiPadと同サイズのノート。デザインラフを作るのに便利かも。

…アドビからInDesignCS5の割引クーポンが送られてきた。アドビもこういうプロモーションをできるようになったのか。

Adobe Digital Publishing Suite報道関係者向け説明会

いまさらネタですが、ADOBE DIGIPUB MAGAZINEで「Adobe Digital Publishing Suite報道関係者向け説明会」のムービーが公開されています。

制作的には第3部のムービーが参考になるでしょうか。2月のAdobe Digital Publishingフォーラムではさらに詳しい情報が公開されるのでしょうかね。

Adobe Content Viewerの中では何が起きているのか(大げさ)

先日Adobe Content Viewerを1.3.0に上げた際に表紙画像のプレビューが表示されなかった件ですが、一度ファイルを全部削除して、もう一度.issueファイルをアップし直すとちゃんと表示されました。

ついでというわけではないですが、.issueファイルを読み込ませる過程でどういう処理が行われているのかiTunes上のファイル表示の変化をご紹介します。
#何の役に立つのかとかは気にしない方向で…


ファイルと一旦全部削除してから、Adobe Content Viewerを起動します。

Adobe Content Viewer上で「Updating Library」と表示が出て、「issues」「library」の2つのフォルダと「Library.plist」「version.plist」の2つのファイルができました。

issueファイル(ここでは「PageNav.issue」)をアップします。ここでAdobe Content Viewerを一旦終了させてもう一度起動すると、「PageNav is now available.」と表示されました。

この時点でPageNavの文書が認識されていることがわかります。でもまだプレビューは表示されておらず、「PageNav.folio」と表示されているのに注目。このとき「PageNav_temp_h.png」「PageNav_temp_v.png」という2つの画像ファイルが生成されます。

ここでPageNavを表示させると、プレビュー画像が生成されたのか「PageNav_temp_h.png」「PageNav_temp_v.png」が「PageNav_proxy_h.png」「PageNav_proxy_v.png」と変わりました。

ホーム画面に戻るとプレビュー画像が表示されているのがわかります

Adobe Digital Publishing フォーラム 2011

イベント詳細が発表になったようです。
http://adobe-digipub.jp/event/index.html

開催概要

タイトル :Adobe Digital Publishing フォーラム 2011
開催日程 :2011年2月1日(火)
開催時間 :13:00-18:00(予定)
参加費 :無料(要事前登録)
主催 :アドビ システムズ 株式会社
会場 :ベルサール六本木


12月15日 受付開始だそうですが、なんとか都合をつけて参加したいです。

しかし告知用Twitterアカウントまったく機能してないな。

Adobe Content Viewerバージョンアップ

issueファイルを表示させるためのiPadアプリであるAdobe Content Viewerが1.3.0にバージョンアップしたようです。

変更点は

Support for both grid and single view in Viewer library
Folio download via 3G connection

だそうです。

アップデートして起動させると

プッシュ通知の許可を求める表示が。新刊案内とか自動配信できるのかな?


これがgrid viewなのでしょうか?

これがsingle view? この時点で表紙画像のプレビューがでてないのは、後日あらためて調べてみましょう。

たぶん以前のバージョンではなかった「Archive」ボタン。これをタップするとこんなメッセージが。バックナンバーとかでiPadの容量が足りなくなってきたら、これで削除するということなのでしょうか? 説明文にはいつでも好きなときに無料で再ダウンロードできるとあります。


2行目の「Folio download via 3G connection」ですが、要するに3G経由でもダウンロードできるようになったということですね。うちのiPadはWi-Fiモデルなので確認できませんが。
ちなみにFolioというのは「Adobe Digital Publishing ユーザーガイド」によると、Adobe Digital Publishing Suiteが製品版になった際に.issueから.folioに代わるとあったので、issueファイルと読み替えて問題ないでしょう。