overprint

印刷とそれ以上の何かについて(少し電子書籍寄り)。気が向いただけでは更新されません。

INDD 2012 Tokyo

InDesignユーザーの祭典」INDD 2012 Tokyo に行ってきました。

InDesignトラック(DTP向け)と電子書籍トラックの二つが同時に行われたのですが、私は電子書籍トラックに参加。「InDesignユーザー」だからInDesignトラックのほうが多いのは当然でしょうし、私も仕事的にはこちらに出るべきなのですが、個人的な興味は電子書籍のほうだったので電子書籍トラックにしました。*1

とはいえInDesignイベントで電子書籍ネタに参加する人たちがどういう立場なのかよくわからなかったのですが、制作関係が多かったのかな?

最初の境祐司氏のセッションからもうかなりの情報量で、続くEPUB、ADPS、MCBook/MCMagazineと各フォーマットの解説も45分では到底収まりきらない濃密な内容でお腹いっぱいでした。*2

率直な感想としては、「これInDesignイベントじゃなく電書イベントとして宣伝したら倍以上人数集まるんじゃないか?」と思いました。とはいえ進行、運営も含めてすばらしいイベントだったと思います。

Amazon POD

当初予定になかったセッションとして、Amazonのオンデマンド書籍印刷サービスが紹介されていました。仕事的にはこちらの方が電子書籍よりも少し近いこともあり、とても興味深い内容でしたのですこしご紹介。

オンデマンド書籍印刷といえばEspresso Book Machineを使った三省堂書店のサービスが有名ですが、三省堂のが表紙は単にインクジェットプリンタでカラー出力しただけなのに対して、Amazon PODはPP加工(ラミネート)されていました。また本文用紙も三省堂のに比べて厚めの紙が使われていて写真等もきれいに印刷されていた印象を受けました。

Espresso Book MachineはXEROXのモノクロレーザープリンタに表紙印刷用のカラーインクジェットプリンタを付け、出力からくるみ製本&三方裁ちをすべて自動でやってしまうのですが、Amazonのは各工程の橋渡しを人がやっているのではないかと思います。となると製造コストはAmazonのほうがかかっていると思いますが、紹介されていた書籍では三省堂もAmazonも販売価格は同じだそうです。ということは出版社の利益率が異なるということなのでしょうか?

注文から24時間以内に印刷〜発送を行い、在庫切れ表示は出さないということだそうです。しっかりしたロジスティクスを握っているところがこういうサービスを行うと、普通の印刷会社がいくらがんばっても勝てないんじゃないかという気もします…。

ちなみに三省堂書店はEspresso Book Machineのシステム使ってオリジナルリングノートの販売をやっているようです。書籍印刷だけじゃあまりプリンタ回らないのかな…。


日本の電子出版を創ってきた男たち (OnDeck Books(Next Publishing))

日本の電子出版を創ってきた男たち (OnDeck Books(Next Publishing))

*1:後で映像が公開されるという話だったのでどちらも見られるのが分かっていたというのもありますが

*2:本当は内容についていくのに相当エネルギー使ったので、かなりお腹すいてたところにAdobeからの差し入れで助かった